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9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。 二ヶ月弱ですがありがとうございました。
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身体の至る所にポツポツと赤い虫刺されの痕が出来ている。
この季節柄仕方ないとはいえ、やはり我慢ならない。

『痒い!』

がしがしと乱暴に掻き毟れば、頭上から慌てた声が聞こえてきた。

『宿主!ストップ!我慢しろ!』

『我慢出来ないよー!かわってよー!』

『あのなぁ、俺様だって痒いんだっての。』

はぁ、とため息を吐かれる。
え?と疑問符を頭に浮かべていたのがわかったのか、君はすい、と腕を僕の目の前に掲げた。
半透明の腕を凝視すると、ちょうど同じ位置に赤い虫刺されの痕が出来ている。
同じ身体を共有しているのだから、当然といえば当然なのかもしれない。
けれど君は涼しい顔をしていたし、何よりそんな処まで共有しているとは思わなかったのだ。

『痒くないの?』

バクラは僕の様に力任せに掻き毟ったりせず、
点在している虫刺されをむしろ冷ややかに眺めているだけだった。

『痒いに決まってンだろ。我慢してんだ、我慢。』

何でも無い事の様に言われ、言葉に詰まる。
痒くて痒くて仕方ないのは僕だけだと思っていたけれど、それは違ったのだ。

『宿主も我慢しろ。』

まるで子どもをあやすかの様に腕が伸びてきて、その言葉と共に頭を撫でられる。
勿論感触は無いけれど、その手付きが何だか心地よくて、ほぼ反射的に僕はこくりと頷いた。

『僕も我慢するよ。』

『それでこそ俺様の宿主だ。』

ふ、と君にしては珍しく柔らかな微笑みを見せるものだから、
虫刺されの痒みも何処か遠くに行ってしまった様だ。
共有しているという事実が何故か、心地よい。

『うん。』

小さく呟けば、後は溶けていくだけ。
虫刺されも君となら、悪くないかもしれない。

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身体の至る所にポツポツと赤い虫刺されの痕が出来ている。
この季節柄仕方ないとはいえ、やはり我慢ならない。

『痒い!』

がしがしと乱暴に掻き毟れば、隣りから慌てた声が聞こえてきた。

『宿主!ストップ!我慢しろ!』

『我慢出来ないよー!蚊のバカッ!ついでにバクラのバカッ!』

『俺様に当たンな!今薬持ってきてやるから!』

ぱたぱた、と足音が響く。どうやら薬箱を探してくれているようだ。
その間も痒くて痒くて仕方がなく、ついつい掻き毟ってしまう。
また怒られるかなぁ、とぼんやり考えた処で、遠ざかっていた足音が今度は近付いてきた。
どうやら薬箱がみつかったようだった。

『バクラ、早く薬塗ってー。』

すい、と噛まれた腕を差し出すと、バクラは歯切れの悪そうな顔をした。

『薬、なかったんだけど・・・』

言われて、そういえば虫刺され用の塗り薬は買ってなかった、と気付いた。
途端に痒みがぶり返した気がして、また傷口をがしがしと掻き毟る。

『こら宿主!キ○カン買ってやるから!』

母親の様に僕をたしなめる古代エジプトの邪神様の姿は、何だかシュールだ。
それがとても面白くて、ついついわがままを言ってしまう。

『キ○カンはしみるからやだっ!ム○がいい!』

『わーった!わーったから!ム○買ってきてやるから!掻くンじゃねェぞ!』

それでも、僕のお願いを受け入れてくれると知っている。
乱暴だけど、優しいね。

『ありがと!だいすきー!』

にへ、と笑うとバクラは面食らった様な顔をした後、不意打ちの告白に少しだけ頬を染めながら、
行ってくるとだけ告げてさっさと外に出てしまった。

『行ってらっしゃい。』

ふふ、と何だか幸せになった僕は、笑って彼を見送った。
虫刺されも、たまには悪くないかもしれない。

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HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
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