カチャカチャとベルトを外す音が室内に響く。只それだけの事なのに酷く気恥ずかしい。どれだけ乙女思考なのだと喝を入れてやりたい、自分に。
『何だよ、宿主まだ脱いでないのかよ。だらしねェ。』
は、と気付くと既に残すところ下着一枚、になっているお前に呆れたような台詞を投げかけられた。一方の僕はと云えば、まだ一枚も脱いでいない。目の前でさっさと脱ぎだすお前にどぎまぎとうろたえていたからだ。
突然の豪雨に苛まれ、傘を持たない僕達は先刻やっとの思いで部屋に戻ってきた処だった。今日の降水確率は10%未満です。今朝のニュースキャスターの貼り付けたような笑顔に騙されて、まるっきり警戒していなかった自分達を嘲笑うかの様に雲行きが怪しくなり始めた、と思えばコレだ。土砂降りの雨の中、必死で走って帰ってきた所為かまだ身体はほんのりと暑いけれど、それも時期冷めてしまうだろう。風邪ひくといけないから早く湯船に浸からなくちゃ。その一言にニヤリと意地の悪い笑みを浮かべられた瞬間に気付くべきだった。
先に入っていいよ、の投げかけに対するお前の台詞に、企みは嫌という程理解できて、赤面以外の何物でもない。
『つれねーこと言うなよ。一緒に入りゃーいいじゃねェか、なァ?』
その一言に議論する暇も与えられず、タオルを投げつけられ、目の前の男はさっさと服を脱ぎだしてしまったのだから。
『・・・お前の魂胆ミエミエなんだけど・・・。』
どうせ風呂場でーなんて考えてるんだろう、と言ってしまえば余計に目の前のこいつを喜ばせてしまうことは明白だ。何考えてんだか、宿主のエッチ!なんて言われた日には殺意すら沸きあがる。別にそれに至る事に抵抗は無いけれど、気恥ずかしさはやはり付き纏う訳で、そんな風に茶化されては気分が悪い。出来る事ならムードたっぷりに、なんてやっぱり乙女思考だけれど、こいつに言ったところでどうしようも無い事も判っていた。
『話が早ェな、宿主。判ってんならさっさと脱げよ。』
そうやって催促してくるこいつに、そんな事を求めたところで意味が無い。
けれど仕方ない、と早々に諦めてしまえるのは、やはり絆されているからだ。
『後から入るから、先入っててよ。』
敵わないなぁ、と思いながらそう促すのは、もう少し頬の熱を冷ましてからにしたいから。
体温は相変わらず高く、これはきっと走って帰ってきたから、だけが理由では無い。
これから始まるバスタイムに期待を寄せているのは、僕も同じという事だ。
君は消えた。
何処かへ堕ちた。
世界は救われ大団円。
それはとても幸せなバッドエンド。
ねェ聞いてる、なんて言ったってもうお前は何処にも居なくて、
ぽっかりと空洞の開いた心の中には勿論誰も居なかった。
夢だったと言い聞かせたい衝動はけれど其処此処に残る傷跡に突き動かされない。
どうしようも無い。
世界の破滅は免れて、
世界は光に救われた。
ラスボスは世界の果てに追放されて、
残された僕は其れを憂いた。
これをハッピーエンドというのなら、それは只の御伽噺だ。
世界は救われ僕は救われない。
なんて幸せなバッドエンドだろう。
残された僕には皮肉めいたその言葉がよく似合う。
消えていった君にも揶揄を含んだその言葉がよく似合う。
『幸せなバッドエンドだね。』
僕はお前を手放したくないだけなんだ。どんなに酷い目に合わされたか数え切れず、どんなに辛辣な言葉を吐き捨てられたか計り知れない。けれどどんなにお前が極悪人だったとしても、僕にはもうお前しかいない。
『手癖の悪い宿主様だな・・・』
すぅ、とその手が僕の頬を滑る。奇妙な程優しい手つきだ。その手に何度打たれたか判らない上にその手に何度絞め殺されそうになったかも覚えが無い。それでも僕はこいつを手放す事が出来ない。勝手に友人の部屋からこいつの宿る千年輪を持ち出したのだって、その為だ。友人達が僕の為を思い輪と隔離していた事もちゃんと頭では判っていたけれど、それにも勝る強い思いが友の厚意を裏切っていく。
お前は知らないだろう。どんなに僕が依存しているかなんて。
『呆れた?』
相変わらずするすると頬を撫でる手つきに溶かされそうになりながらそう言うと、お前は口の端を吊り上げて笑った。何時もの顔だった。
『まさか。その逆さ・・・』
そう言うと撫で付けていた手が頬の上、ぴたりと止まった。添えられているだけの手に奇妙な安心感すら覚える。知っているよ、呆れる筈が無い事を。君の前世を僕に垣間見て寧ろお前は喜んだ筈だ。勝手に部屋から持ち出すなんて悪い宿主様だな、と言いながら、僕の行動を面白がった筈だ。
だからこそ、今日はこんなに優しい。
明日お前に殴られたって、蹴り飛ばされたって、僕にとっては本望だ。
今この瞬間上機嫌なお前の気紛れな優しさに、また、募る思いがそれでも手放したくないと悲鳴をあげるから。
『お前は最高の宿主だぜ。』
くく、と笑ったと思えば頬に添えられていた手に力が篭る。ああ、やっぱりこれだからお前を手放す事が出来ないんだ。どんなに酷い目に合わされたか数え切れず、どんなに辛辣な言葉を吐き捨てられたか計り知れない。けれどどんなにお前が極悪人だったとしても、それでも僕には何の関係も無いんだ。
数秒後に落とされる口付けが僕の思考を全て攫っていくと、知っているから。
極上の褒美に、より一層お前から離れられなくなると、知っているから。
こんな関係間違いだ、なんて言わないで。
僕にはもう、お前しかいない。
チキンな私はいつも入り口ですごすご引き下がるんですが・・・今回はがんばっておじゃましてきました・・・。
とりあえずわたしのためにどうもありがとう!な展開になりました・・・。ひいひい。
ごめんね、社長が見えません・・・な手前2人にめろめろしてしまうミドリムシさんの素敵絵。
夜中、主催者様が帰ってしまい2人きりに・・・!
ど、どうしよう・・・てなったけど私の自己中ぶりを発揮して、バク獏を描いてもらいました!
ちょ、ちょうかわいい・・・!(もちろん右のかわいい絵ですよ!)
画面の前でずっとぜえっぜえしてました。
手ブロ拝見した限りかにがすきっぽかったので「バク獏かいてもらえたら何でもかきます!」て頼み込んでいや絶対蟹だよいいよ蟹がんばるよとか思ったら「じゃあ私もばくばくで・・・」と言われたんです。
「え・・・!そんな気をつかわなくても・・・いい人・・・!!!」と思ったらドエスターンでした^p^
「獏バクでお願いします」でした。笑。はじめてかいた!(左が私の人生初の獏バク)
いや無理まじ無理だろこれ描けるかなーと危惧してたんですが・・・いけました^p^
むしろちょっと獏バクいいかもしれない的な(笑)
私は宿主至上主義なので、宿主が幸せならバクラくんが不幸でもいいんですよ。
つまり、獏バクのほうが宿主は幸せになれるんだと思いますよ・・・。
これでお開きの展開かと思いきや「手なんてぬいてない」と発言しようとしただるまさんが間違えて
「手なんてむいてない」
と発言してしまったおかげでエロターンに突入しました!笑
ありがとう!大好物です!^^
というわけでこっからは良識ある大人なおねいさんだけのワンクッション使用で・・・!と言いたいんですが・・・わたしがキャプする前にさっと消されてしまうエロ絵多数で・・・実はすばらしきだるまさんのエロ絵が手元にほとんど残ってないんですよね・・・。
の割りにわたしも対抗してがんがん消していったのに「ばっちり保存したぜ」と言われ続け・・・あれ・・・仕事速いよ・・・。
自分のエロ絵なんてほとんど残してません。オーエスオーエスな絵も描いたけどそんなもん残しません^^
というわけで先にすすんでもいいことないよ!なワンクッション!
でもすごくすてきな宿主絵はのこっているので大人のおねいさん・・・どうぞ!
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。