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9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。 二ヶ月弱ですがありがとうございました。
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背中越しに感じる体温は思い込みだ。君に実体は無い。意識体の君の熱を感じるなんて馬鹿な事ある筈ない。
けれど背中合わせの君の鼓動が今にも聞こえてきそうなんだ。




『宿主。』
『なぁに。』




とくんとくんと一定のリズムを刻む心臓の音は僕のものだろうか、それとも君のものなのか。合わせた背中が溶け合って境界線が無くなる感覚に陥って、どちらのものなのか判別がつかない。そもそも僕達は得てして一つであるべきなのだから、間違ってもいないのだろうけれど。
ああ、それでも、この空気は僕のねじを一つずつ緩めていく。外れていく。
焦がれるように、君に蕩けてしまうんだ。




『宿主。』
『なぁに?』




其の声で、其の口調で、君に呼ばれる度に背中越しの温度はどんどんと上がっていくようだ。此処は心の部屋の中ではないのだ。それなのに、身体はどんどんと君の熱に蕩かされていく。溶けてしまう。
背中合わせの体制では君の顔が見えないけれど、きっと君も僕と同じ顔をしている筈だから。




『・・・なんでもねェ。』





ばつが悪そうに囁いた声が、とても、柔らかい筈だから。




『うん、知ってる。』




ふふ、と笑って背中越しのお前の鼓動に身を委ねる。
やっぱりあったかいなぁ、なんて思いながら、心地よさに目を細めた。
それはとても幸せな、ゆるりと流れる情景だった。
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『姉上サマァ・・・』
ねっとりと耳に絡み付く声で私を呼ぶ闇に嫌悪の表情を向けた。貴方は楽しんでいるのだ。愉悦の空気を纏いながら。私が必死になって弟を助けだそうとしている事を。
それすら、ただの娯楽に過ぎないと感じているのだ。
『私は貴方の姉になった覚えなどないわ。』
ぴしゃりと撥ね付け蔑みの目線を送っても、返ってくるのは飄々とした台詞だけ。
『手厳しいねェ。』
くく、と喉元で笑いながら歪む顔に、思わず眉根を顰める。神経を逆撫でする男だ、と思った。私の反応を逐一楽しんでいる。
圧倒的な闇の支配力と重圧を持ってして、なお実の弟を抑えこんでいるという起爆力。
其の圧力に必死で耐える私を、遥か遠くから嘲笑っているのだ。
『貴方を殺す為なら何だってします。』
けれどその重圧に押し潰されそうな自分を必死で奮い立たせながら強く強く睨みつける。まるで目を逸したら負けてしまうと思っているかの様に見つめ続けるのだけれど、目の前の男はそれすら愉快そうに笑うだけだ。
『いいねェその目。ゾクゾクする・・・。』
ニヤけた笑みにぞくりと背筋をはい回る嫌悪感を払拭したくて、かたくなに逸らさずにいた目線をついにふと逸らしてしまえば、馬鹿にしたような笑い声だけが耳に劈いた。
まるで闘う前から負けが確定しているかのようだ。悔しさに思わず緩みかける涙腺を叱咤し、踵を返す。




『マリクを取り戻します。必ず。』




そう言って、後は何も聞こえないようにと貴方の元を離れた。




季節は秋に向かう処だった。晩夏の夜は幾分か過ごしやすく、窓辺から入り込む夜風が心地良く髪を撫ぜた。
『ねェ、キスってした事ある?』
明日は晴れるだろうか、等とりとめもない事を考えていたバクラの耳に唐突に驚く様な台詞が流れ込み、彼は思わず声の主を凝視した。前後関係も何もない了の言葉に聞き間違えかと我が耳を疑ったからだ。
『何言って・・・』
『だから、キス。僕、した事ないんだよね。』
驚くバクラに更に追い討ちをかけるかの様に了は言葉を続けた。誰が見ても判る程に動揺している姿は、とてもじゃないが世界を滅ぼそうと企む悪役には見えない。了としてはふと思い付いた言葉を発しただけだったのだが、これは案外功を奏しているのかもしれない、と思った。普段自信満々の傍若無人なバクラを慌てふためかせる等、なかなか出来た事では無かったからだ。
『・・・キスしてみたいなー。』
ずい、と顔を近付けて了は上目遣いにバクラを見つめ、熱っぽく囁いた。からかい半分の台詞に揺れる深い紫色の瞳が、彼の戸惑いを如実に物語る。
『・・・心の部屋でか?』
『ううん、此処で。』
絞り出した様な声に笑いを堪え切れず、了は口許を緩く綻ばせながら即答した。
バクラは所謂意識体である。了と身体を共有している状態であり、現実の世界では触れる事はおろか他人の目に見える事もない。了の心の中の“心の部屋”でだけ、触れ合う事が出来るのだ。
『此処じゃ出来ねェだろーが。』
呆れた様に溜息を吐き、バクラはようやく落ち着いてきたのかしっかりと了の淡緑の瞳を見つめ返し、次いで仕返しとばかりに了の唇にゆっくりと近付いた。勿論実体を持たない唇が触れようと、何の感触も無い事位知っている。
ただそれでも、近過ぎる距離に触れた様な錯覚すら起こし、今度は了が戸惑い揺れる番だった。
『・・・本当にすると思わなかったんだけど・・・』
『・・・此処でっつったのはお前だろ。』
予想外の反応に、お互いがお互いに驚く。真似事の口付けがもたらす感情のざわめきは、思ったよりも大きかったらしい。
どうせ出来ないだろうと高を括っていた了の頬は心なしか紅潮し、そして了のその反応にバクラ自身もまた、顔が熱を帯びるのを自覚せずには居られなかった。




やっぱり心の部屋来いよ、と耳元で囁かれ、了は更に染まる頬を知覚しながら、ゆっくりと頷いた。




君が居た事実を残らず消したい。
跡形も無く消したい。
何も残らないように、全て葬り去らしてほしい。
だってそうしなきゃ惨めだもの。




『お前は何時居なくなるの。』
『何時消えるの。』
『何時になったら僕を置いていくの。』




何時、ねえ何時になったら。
何度も何度もそう尋ねては、君を困らせる愚かな僕。
けれどだって、きっと居なくなるんだもの、君は。




『居なくならねェよ。』
『ずっと居る。』
『置いてく訳ない。』




都合の良い言葉を並べて、都合よく抱きしめて、それで騙せるはずが無いというのにね。





お前が居なくなったらそのときは僕の中から全て消して。
残らず消して。





そうじゃなきゃ、惨めすぎるから。
ただの日記なのでワンクッション。

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HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
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