身体の至る所にポツポツと赤い虫刺されの痕が出来ている。
この季節柄仕方ないとはいえ、やはり我慢ならない。
『痒い!』
がしがしと乱暴に掻き毟れば、隣りから諭す様な声が聞こえてきた。
『あまり掻き毟るな。』
『でも痒くて仕方ないんだ。』
『待っていろ。今薬を持ってきてやる。』
すたすたと足音が遠ざかっていく。
どうやら薬箱を持ってきてくれるようだ。
その間も痒くて痒くて仕方がなく、ついつい掻き毟ってしまう。
また何か言われるだろうか、とぼんやり考えた処で、遠ざかっていた足音が今度は近付いてきた。
どうやら薬箱がみつかったようだった。
『亮、薬はあったのか?』
すい、と噛まれた腕を差し出すと、亮は無表情のままこくりと頷いた。
『此れで良いか。』
言われて、薬のラベルを見ると、見覚えの無い品だった。
そもそも日本の薬品には疎い為、何だっていいやと思いながら頷く。
『少し染みるが、直に気持ち良くなる。』
そう言って亮は僕の腕にその薬を塗りだした。
不穏な空気を放つ台詞にツッコミを入れる暇なくキィンと痛みが走り、思わず叫んでしまう。
『痛っ!染みる!何これ凄く染みるんだけど!』
『キ○カンだからな。しかしム○は生温い。やはりこれ位染みる方が気持ち良いだろう?』
当然、とばかりに告げてくる目の前の男にうっすらと殺意が沸く。
このドMが!
『僕は別にッ…!し、染みる染みる染みる!』
乱暴に掻き毟っていた為か、ビリビリとした痛みが身体中を駆け巡る。
くそ、覚えていろ!
お前が蚊に刺された時は逆にこのキ○カンとやらを隠して変わりにム○という薬を用意してやる。
生温さにがっかりするが良い。
『ほら、他に噛まれた処も塗ってやろう。キ○カンは偉大だからな。すぐに治る。』
これだけ染みる染みると喚いているのに、なおキ○カン片手に僕に迫ってくるのだから、
実はドSの気もあるのかもしれないが。
虫刺されなんて、大嫌いだね!
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。