9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。
二ヶ月弱ですがありがとうございました。
呆れた顔をされるのは珍しい事ではなかった。どうも目の前のこの男は僕の事を子どもだと思って馬鹿にしている節がある。いや、きっとそうだ。多少の我が儘はやれやれ、と呆れられながらも通り、度を越えるとやんわりと諭される。これではまるで君は僕の保護者ではないか。馬鹿にするなよ。
『亮』
コホン、と咳払い一つ、恭しく名前を呼べば無表情で見下ろされて、それだけでちょっと不機嫌になる。何なんだもう。僕は別に自分が小さい、とは思ってないけれど、それにしたってこの身長差は面白くない。こいつは少し縮めばいいのに、なんてどうでもいい事を考える。
『何だ』
相変わらずの無表情で相変わらずの上から目線。最初は何か気に入らない事でもあるのかと疑ったが、そうではないらしい。唯、癖なのか不機嫌そうな顔をするけれど、本心からでは無い事は知っている。
『いつも思っていたけれど、君は僕の保護者気取りか。大層な身分だ。』
ふん、と嫌味を全面に押し出して、怒らせられたら僕の勝ち。
けれども、現実は簡単にはいかない事は重々承知だ。昔対戦した時の、易々と口車に乗せられていた甘ったるい新人は、今となってはその頃の面影も無い。またか、と言わんばかりの呆れた顔。またか、はこちらの台詞だ。歳の差が10や20或る訳でも無いのにそんな保護者面されても面白くない。
対等もしくは君が下位だ。
『急に何を言い出すかと思ったらまた、突拍子もない事を。』
ふ、と笑って頭に手を置く。ああ、ほらそれだよ、それ。無自覚だというから驚きだ。どうにもこの身長差のせいで君は僕の頭を撫でる癖がついたらしい。それも、本人の意識下でなく。
これが子ども扱いじゃなく何と言うのだろうか。
『亮、また。』
ムッとして制すると今更気付いた様子で大きな手のひらは離れていく。
『これは、違う、』
違わないよ、もう。どんなに辞めろと言っても辞めないし、きっと数分後同じ押し問答をした所でまた同じ展開になるのは目に見えている。最初の頃こそ弁明をまともに受けていた僕も、今では流されようとすら思わない。天下のカイザー様が聞いて呆れるね。
『……お前だって。』
途端、にやりと笑う顔に、訳が解らず眉を顰めると、
『呆れた顔、していただろう。』
なんて付け加えられて、言葉に詰まった。
余り表情豊かでない男だからこそ、この顔は、駄目だ。ムカつく。腹立たしい。
『僕は良いんだよ。』
だけど君は駄目だ。続けると、してやったりな顔にまた、仕方ない、と言いたげな光が宿る。
『対等な立場が好ましいのだが、お前はどうやら俺を下位に仕立てあげたいらしいな。』
、良くわかっているじゃないか。
けれどこのまま押し問答を続けていたって丸め込まれてしまう気がするのは、君の思惑より勝っているからだと思わせてくれよ。
『当たり前だね。』
挑戦的に見据えれば、それでいいよの譲歩の答え。けれどそれではまだ不十分だ。
本当はやっぱり対等な立場がいいね、なんて言わないけれど、君がきちんと気付くべき。
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プロフィール
HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
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