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9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。 二ヶ月弱ですがありがとうございました。
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空気を読めないやつだ。授業開始からおよそ30分、唐突にぎゅぅ、と後ろから抱き締められてびくり、と反応する体。それと同時に上摺る心で僕はそう思った。僕自身も周囲から常日頃言われている言葉であるけれど、多分僕よりずっとこいつは空気を読めない。否、読めないのではなく読まないのかもしれないね。そう思わずにはいられない程突然の抱擁だった。
『急に何、なの。』
しん、と静まり返ったこの状況では、例えものすごく小さな声でしゃべったとしてもきっと響いてしまうであろうから、口には出さずに心中呟く。
心の中での発言も君には十二分に届くのだから、その点では便利なのかもしれない。
学校、教室、授業中。意思を伝えるという事は、早々単純な事ではない。カリカリとノートを走るシャープペンシルの音と、無言で描きなぐられていくチョークによる言葉の羅列。私語厳禁の今この瞬間にまさか抱き締められている人間がいるとは誰も思いやしないだろう。
当事者同士しかしらない秘密の抱擁が、落ち着け、と言い聞かせるにも関わらずざわざわと僕の心を波立たせる。
『気にしなきゃいい。』
そんな僕の気持ちをきっと知っている君の発言が脳内に甘く響いた。後ろからの抱擁では顔が見えないけれど、きっと僕の大嫌いな、意地悪な顔で笑っているんだろうな、と知覚する。
先刻からぴたりと止まってしまった僕の手は、黒板を埋めていくスピードにもう追い付けないだろう。一人取り残される感覚が一番嫌いだ、という事を知りながら平気でこういう事をするんだ。悪魔、人でなし、ばか、きらい。なんでこんなことするの。幽霊みたいな存在のくせして、抱き締めてくる腕の熱っぽさはやけにリアルだ。他人には見えない曖昧な存在のくせをして、擦り寄る体の体温は誰よりも温かい。
ああ、君が、気にしなきゃいいなんて言うから、気にしないつもりの自分の体が言う事を聞かない。例えばこれが自分の部屋なら、誰もいない2人だけの空間なら、気にもならないのに。
『、だからに決まってんだろ』
す、と耳元に寄せられて、僕にしか聞こえない声で囁く君は、楽しんでいる。 こいつは確信犯だ。空気を読まないのも全部僕を困らせたいからなだけ。2人きりの時には驚く程何もしてこないというのに、こんなタイミングで、なんて、ああ、弄ばれるにも程がある。




早く過ぎ去れと思う自分とこのままでいたい自分との葛藤も、きっとこいつには筒抜けだ。
頭の中が浸食されている状態で落ちていくのは簡単な事。
諦めて委ねるしかもう、選択肢は存在しないのだ。
授業終了まであと、およそ、25分。







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HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
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