忍者ブログ
9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。 二ヶ月弱ですがありがとうございました。
AdminRes
<< 03  2025/04  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30    05 >>
[18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。





視界に入っていない事が悔しいからなんだよ。
無理矢理かもしれないけれど、仕方ないだろう。




『ねぇ、亮。聞いてる?』
テレビのブラウン管に視線を持ってかれちゃって、すんごく暇なんですけど。
そんなに面白いか?この番組。出来レースなんじゃないの、と疑いたくなる程拮抗したデュエルに最初は僕も熱心に見ていたけれど、如何せん弱すぎて話にならない。飽き性の僕は開始10分で見る気を無くし、デュエル馬鹿な君は何時までだって真剣だ。
『亮!聞いているのか?』
苛々が募って仕方ない。この僕を無視するとはいい度胸だ。つまらない、つまらない。どうして僕を見ない、とまるで妬いているかの様な感情に更に増す苛々。
テレビに妬くなんて、どういう事だろう。もしかして、もしかしなくても、振り回されてる?
なんて思って亮の顔を覗き込めば、あからさまに嫌な顔一つ。いくら僕でも傷つくんですけど。
慰謝料請求してやろうか、なんて。




『・・・今良い所だから、もう少し待て。』




何それ。何それ。亮のくせに生意気だ。
あからさまな物言いに僕の苛々は頂点に達する。
まぁいいさ。見てろ、この馬鹿。




がしっと亮の顎を両手で捕まえて、いきなりの行動にびっくりして見開いてる目を睨み付けて、
『このデュエル馬鹿!』
頂点の憤りをぶつけて、何か言おうとしてちょっとだけ開いた唇に噛み付いた。
割って入って歯列をなぞって、抵抗しようとする舌を絡め取る。
これなら僕にしか集中出来ないだろう?と、我ながらナイスアイディアにほくそ笑む。




唇離したらやっぱり盛大に怒られたけど、苛々もどこか吹き飛んだし、うん、満足。
これからもこの方法でいこうかなって呟いたらげんなりした亮の顔。
ああそうそれそれ。その顔いいね。振り回されてますってその顔、お前によく似合うよ。




僕を振り回そうだなんて、亮の分際で生意気だもの、ね。
PR



耳に甘く歯を立てて、君の体の中鈍い痛みが電気信号の様に駆け巡れば、
其れがいつもの合図だから。
いつのまにか暗黙の了解になっていた、狼煙。




空腹の紛らわせ方




どうしてそうなったか、は判らない。けれど多分腕を首に回すよりも、其の方が確実だったからだ。わざわざ僕の方から抱いて、なんて言わなくたって、其れで気付いて貰えるというメリットが存在している。軽く濡らす様に舌先で耳の感触を楽しんで、そうして眉根を寄せる一瞬の表情に満足した後、君の其の耳に歯を立てる。
痛みが鈍く体中を駈け巡りぞくりと背面を波打つ感覚は、始まり以外の何者でも無い。
『お腹空いたね。』
そう云うと、それから漸くぐるりと君の首元へと腕を回した。目線は合わせず、そのまま引きずるかの様に床へと雪崩れ落ちる――けれど其処が床で在ろうが寝具の上で在ろうが、僕にはどうだって良かった。これ以上無いという位、空腹だったからだ。外に出かけるのが億劫で家の中でだらけていても、生存本能が働いて腹はへる。とは言え、冷蔵庫に食べ物が存在していたかなんて、曖昧だ。もう大分前に食べ尽くしてしまった様な気がして確認する気すらおきない。せめて食料確保のために外に出ようかとも思ったけれど、ちらりと目線を窓へと移行させた時に見えた外の景色が雨模様で、外出する気もすっかり失せてしまった。
だからこうして、時間稼ぎで空腹紛れの安易な行為に走ってしまうのだ。
ね、と同意を求める様にようやく君の顔を覗き込むと、益々眉間に皺の寄った表情が視界に広がる。乗り気じゃないのかな、とも思ったけれど、とにもかくにも君だって空腹では在るのだから、快楽に埋もれてしまえば楽なのだ。
だからそのまま、君も回された腕を振り解くなんて愚かな事はしなかった。誘いを受ける形で手は下へ下へと滑り落ちる。
勿論、君の顔にはまだ苛ついた感が否めない険しい表情が張り付いていたけれども。
僕の誘いを受けた時点で選択肢なんて用意されてないんだから、諦めてね。




『お前だけ喰べて生きていけたら良いのになぁ。』
そう云って求める様に君の唇を割って入って絡めた舌先から、
『それで、お腹いっぱいになれたらなぁ。』
そう言って突き放す様に君の歯を舌先で舐め取ってから、




耳に甘く歯を立てて、痛みが鈍く体中を駆け巡る様に噛みつく、
合図から始まる、紛らわせる為だけの甘い行為を、此から押し寄せる快楽を、感じながら。
生きて行けたらなぁ、ともう一度、小さく呟いてから目を閉じた。




この世には2種類の人間が存在する。思いつきで行動する人間と、計画立てて行動する人間である。そして了はどちらかといえば前者で、バクラはどちらかといえば後者だった。
『暇だね!散歩に行こうか!』
思い立ったら即行動。そんな言葉がぴったりの了はピンと思いついたらしい計画を実行に移すため、勢いよく立ち上がった。普段は面倒だと外へ出歩きたがらない性格のくせに、こういう時だけは驚く程アクティブだ。
『はぁ!?何だよいきなりだなオイ!』
バクラはあまりにも突然な了のお誘いにもっともな台詞でツッコミを入れた。芸人顔負けの素晴らしいキレだ。大邪神かつ遊戯王界のラスボスであるバクラを此処まで振り回せるのは了だけであろう。
『いいの!行くの!ほら、5分で支度するよ!』
思い立ったが吉日。其れを如実に現す了らしい発言に、バクラはぶつくさと文句を垂れた。勿論、無駄だとは知っているけれど。飲まなきゃやってられない、というサラリーマンの気持ちが今なら良く判る、とバクラは思った。何故今のタイミングで外に出なければいけないのだ。セミの鳴き声が鬱陶しい事この上ない、7月も半ば。大人しく空調の効いた家の中でごろごろするのが得策なこの季節に、どうしてわざわざ外に出なければいけないのであろうか。
『せめてもう少し計画立ててからってなら判るけどよォー・・・』
バクラはぼそっと、了には聞こえないように抗議した。聞こえているとどんなに辛らつな言葉を吐き捨てられるか判らないからである。よくもまぁラスボスをここまで恐れさせることが出来るなぁ、と感心せざるを得ない。
『何言ってんのー。毎回毎回中途半端な計画たてといて。詰めが甘いくせに。』
案の定ズバァっと、了は笑顔で切り捨てた。聞こえない様に呟いたはずなのに、恐るべき地獄耳である。マインドクラッシュは実のところ、了の方が得意分野なのかもしれない。そう思わせる程の毒舌ぶりには白旗を挙げる他無かった。
結局、了の発言が全てなのだ。バクラに発言権なんてものは存在しない。
まさか此処まで立場が逆転しようとは、誰も想像できなかったであろう。
とにかく了の機嫌を損ねないように5分で用意するしかもう、道は残されていなかった。




*******************************************************************




『てゆーか暑すぎるんだけど。誰だよ外に行こうとか言ったの。』
『や、宿主が・・・』
『五月蝿い。』




照りつける太陽の余りの激しさに勇んで家を出たものの、3分もたたずに理不尽な文句を言う了に、全バクラが泣いたのは、また、別の話。




『ねえ』
千年リング、という物体に宿るお化けみたいな存在に話しかける。
たかが無機物だと言えど確かに其処には君が存在していて、まったく、科学なんて何の根拠にもならないなぁと思った。
君は眠っていたのかしらないけれど酷く不安定なビジョンで現れて。
それでも律儀に僕の問いかけに答える。
『なんだよ。』
ぶっきらぼうに聴こえるけれど、此れが君の自然体なんだよね。
そう気付いてからというもの、畏怖の存在から一転して興味の対象になっていった。
千年アイテムの秘密を知りたいと思っていたけれど、今はそれよりも気になる事が出来たと言ったら、君はどんな顔をするかなぁ。
君の事をもっと知りたいよ、なんて、僕は少し可笑しいんだ。




『昔の君ってどんなだったの。』




色々聞きたいことがたくさんあって。
時間が足りないとすら思っていた。
すきな食べ物、好きな場所。
そういう取り留めの無いことを質問しては、くだらないと言いつつも答えてくれていたから。
だから自惚れていたのかもしれない。
何を聞いても教えてくれると思っていたのは事実で、今この瞬間、何も考えずの発言だって、ちゃんと答えてくれると思っていた。
けれど、その質問は君にとってのタブーだったらしい。
さっと表情に陰りが見えた、と思うや否や、まるで初めて出会った時の様な冷たい声音で返される。
『お前には関係ない。』
ピシャリと言い放たれて、背筋が凍る。
誰にでも聞かれたくない事はある、という事をすっかり忘れていたと気付いたときには、遅かった。
ごめんなさい、と謝る暇もなく君はリングの中深くに引っ込んでしまったらしく、姿が見えなくなってしまう。
自惚れていたんだ。
世界を滅ぼそうとする悪者はけれど僕にだけは優しいと、勘違いも甚だしい。
なんだか呼吸器に穴が開いたみたいだ。




呼吸器をも貫く大きな風穴。
息を吸い込んだって其処からひゅうひゅうと抜けていってしまう。
言葉は鋭利な刃物の形をしていると言うけれど、きっとそれ以上だ。
君の存在そのものが僕にとっては茨の棘。




君の一挙一動に驚くほど狼狽してしまう。
ナイフに抉られた心は、君が許してくれるまでぽっかりと開いたままなのだろう。
見えなくなってしまった君にうわごとのように何度もごめんなさいと、繰り返した。



外気は肌を刺す様に冷たくて、けれど其れすら心地良く感じる。整わない息はしっとりとした熱っぽさを帯びていて弱々しく、鬱陶しい限りだ。今は一体何時なのだろうか。ふと気になったけれども、閉じた瞳から伺える筈も無い。まして寝ているのか、目を閉じただけなのかの境界線すら曖昧だ。ああ、体が酷くだるい。大方季節の移り変わりに体がついていかず、熱を拗らせたのだろう。体調管理が出来ないなんて、プロ失格だ。情けない、と自己嫌悪に陥る。その時だ。息を詰めると途端ひんやりとした感触を額に感じ、うっすらと目を開けた。

『斎王?』

感触は手の平で、そんな事をするのは斎王だけだと思い、確認もせずそう呟いた。すると、どうだろう。不機嫌な声が返ってきて、僕は思わず思い切り目を開けた。

『残念だが外れのようだな。』

覗き込まれて居るからか、何時もより顔が近い。不本意だが何時もは身長差が邪魔をするから。
それにしても、まさか君がそんな事をするとは思いもしなかった。だって、どうして君がそんな事をすると思う?

『君のガラじゃないからね。』

ヘルカイザー。安直なネーミングセンスだね、と言えばまったくだ、とさして気にも留めずにそう言っていたのを思い出す。冷酷で無慈悲、そういうところが気に入って僕の方から近付いた。君から僕に近づくなんて事は、今の今まで有り得なかった。
だから、そんな君がまさかこのタイミングでやってくると思う?
呆れる程ガラじゃないよ。

『それは悪かったな。』

そう言うと額からするりと降りた手が頬を撫でた。ねぇどうして今日はそんなに優しいんだ。君らしくないよ、と言いかけて、けれど寸での所で止めておいた。いつもの君、をそういえば僕は知っているのだろうか。デュエルのとき、たまに会うわずかな時間、僕が知っている君なんて所詮そんなものなのだ。僕が知っている君はとても非情な男だけれど、僕の知らない君は其処此処に存在していて、そうして今目の前に居るのは僕の知らない君なんだ。

『、悪くは、ないよ。』

頭の中で結論付けて、僕はやんわりと受け入れる。それならば何も問題は無いんだもの。優しい君には少し違和感を感じるけれど、悪くはない。触れた手のひらも冷たくて心地よいから、臍を曲げて離れていかれちゃ物足りない。悪くないよ。君が僕の知らない面を持っていようがいまいが、人間なんてそんなものなのだし。

『なら良い。』

ふ、と笑うその顔はやっぱりいつもと一緒だ。
けれどいつもより幾分か柔らかい雰囲気に、君も人の子だなぁと場違いなことを考えていると、

『それにしてもお前が風邪をひくとは、お前も人の子だな。』

なんて、同じ考えを口に出す君に、僕は苦笑した。

『君のほうこそ。』




ああ、風邪もたまにはいいかな、なんて。
冷たい指先の心地よさに急速に眠気に襲われて、夢見心地のままそう思った。

Powered by Ninja Blog    photo by P*SWEET    icon by Egg*Station    template by Temp* factory

忍者ブログ [PR]
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
フリーエリア
bannner.jpg


最新コメント
プロフィール
HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析