9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。
二ヶ月弱ですがありがとうございました。
外気は肌を刺す様に冷たくて、けれど其れすら心地良く感じる。整わない息はしっとりとした熱っぽさを帯びていて弱々しく、鬱陶しい限りだ。今は一体何時なのだろうか。ふと気になったけれども、閉じた瞳から伺える筈も無い。まして寝ているのか、目を閉じただけなのかの境界線すら曖昧だ。ああ、体が酷くだるい。大方季節の移り変わりに体がついていかず、熱を拗らせたのだろう。体調管理が出来ないなんて、プロ失格だ。情けない、と自己嫌悪に陥る。その時だ。息を詰めると途端ひんやりとした感触を額に感じ、うっすらと目を開けた。
『斎王?』
感触は手の平で、そんな事をするのは斎王だけだと思い、確認もせずそう呟いた。すると、どうだろう。不機嫌な声が返ってきて、僕は思わず思い切り目を開けた。
『残念だが外れのようだな。』
覗き込まれて居るからか、何時もより顔が近い。不本意だが何時もは身長差が邪魔をするから。
それにしても、まさか君がそんな事をするとは思いもしなかった。だって、どうして君がそんな事をすると思う?
『君のガラじゃないからね。』
ヘルカイザー。安直なネーミングセンスだね、と言えばまったくだ、とさして気にも留めずにそう言っていたのを思い出す。冷酷で無慈悲、そういうところが気に入って僕の方から近付いた。君から僕に近づくなんて事は、今の今まで有り得なかった。
だから、そんな君がまさかこのタイミングでやってくると思う?
呆れる程ガラじゃないよ。
『それは悪かったな。』
そう言うと額からするりと降りた手が頬を撫でた。ねぇどうして今日はそんなに優しいんだ。君らしくないよ、と言いかけて、けれど寸での所で止めておいた。いつもの君、をそういえば僕は知っているのだろうか。デュエルのとき、たまに会うわずかな時間、僕が知っている君なんて所詮そんなものなのだ。僕が知っている君はとても非情な男だけれど、僕の知らない君は其処此処に存在していて、そうして今目の前に居るのは僕の知らない君なんだ。
『、悪くは、ないよ。』
頭の中で結論付けて、僕はやんわりと受け入れる。それならば何も問題は無いんだもの。優しい君には少し違和感を感じるけれど、悪くはない。触れた手のひらも冷たくて心地よいから、臍を曲げて離れていかれちゃ物足りない。悪くないよ。君が僕の知らない面を持っていようがいまいが、人間なんてそんなものなのだし。
『なら良い。』
ふ、と笑うその顔はやっぱりいつもと一緒だ。
けれどいつもより幾分か柔らかい雰囲気に、君も人の子だなぁと場違いなことを考えていると、
『それにしてもお前が風邪をひくとは、お前も人の子だな。』
なんて、同じ考えを口に出す君に、僕は苦笑した。
『君のほうこそ。』
ああ、風邪もたまにはいいかな、なんて。
冷たい指先の心地よさに急速に眠気に襲われて、夢見心地のままそう思った。
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プロフィール
HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
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でも甘いのもあるよ。
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