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9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。 二ヶ月弱ですがありがとうございました。
AdminRes
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愛しくて憎らしくて愛おしい。
相反する二つの想いが、僕の心をきつく揺さぶる。僕は一体どうしたいのか、お前に何を求めているのか。自分でも判らない矛盾した気持ちを、他人が判る筈も無い。
『触らないで。』
ぎゅ、と唇を結んで下を向いた。だんまりを決め込むには此れが一番なのだ。お前は僕のいきなりの態度に少し戸惑って、そして僕に触れようとした手を渋々下におろした。利口だね。強行突破で無理矢理にでも触れようとしたならば、ヒステリックに泣きわめくつもりだったから。
『宿主。』
何なんだ急に、と苛立ちを込めた声音で呼ばれるけれど、無視を決め込む事にしている。非難めいた口振りはもっともだから、悪いのは僕だということも自覚しているよ、ごめんね。
それでも、僕は僕が判らなくて、君を非難してしまうだろうから。
だってこんなにもこんなにも、君が憎らしいんだもの。
僕の友達を傷付けて、僕の身体も傷付けて、あまつさえ世界の破滅を願う悪の化身。
今もし僕がこの喉元を掻き切って鼓動を止めてしまえたのならば、誰も苦しまずに済むのだけれど。
『なぁ宿主、急にどうしたんだよ。』
そうやって僕の機嫌を伺う悪魔には悪魔なりの、理由を持っていると知ってしまった。
復讐なんて何も残らないよ、と説き伏せられる程君は甘くない。そして僕もそんな夢想を語れる程子どもでもない。




『やどぬ、』
『お前がもっと嫌なやつだったら良かったのに。』
また僕を呼ぼうとする君の声を制止して、僕は続ける。
『お前がもっと酷いやつなら』
『お前がもっと最低だったら』
『やど、』
『お前が』




『殺してしまいたい程憎いなら、まだマシだった。』




ああだってこんなにもこんなにも憎らしいんだ。
どうしてこんなに憎らしいのに、
『…そしたら嫌いになれたのに…』
こんなにも愛しいのだろう。




相反する想いは混ざりあい、加速していく。
愛しくて憎らしいなんて 矛盾もいい所だ。
結局僕はどうしたらいいか判らないままぐるぐると同じ処を巡る。



出口は何処にあるのか。
何処まで行けばいいのか。
判らないまま僕は迷走し、囚われていく。




やっぱり君が愛しくて愛しくて、憎らしい。
何の解決にもなりやしない、わかったことといえば、それだけだった。
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話が話なので、ワンクッション。
DVです。宿主がドMです。どっちも最低です。ちょっとアングラです。
それでも良いならどうぞ。




はじめて見た月を覚えている。
綺麗なはちみつ色がほどけるように、雲の合間を縫っていた。
はじめて見た星を思い出す。
バターとミルクで造られた、甘い砂糖菓子のようだった。
それはもう、昨日の事のように思い出せると言って、僕は笑った。



星屑はやわく脆いこんぺいとうみたいだから、貴方に見せてあげる事が出来ないの。
優しい雨が続くなら途切れてしまう、天の河のように。




覚えている?
君が空を見上げながら泣きそうな顔をしていた事を。
月を見たら思い出す、と言って昔を振り返る君は儚くて、とても悪い人には見えなかったんだ。
『君が昔を思い出す間、僕ははじめて見た月を思い出すよ。』
君の過去には戻れないけれど、
振り返ることができる、たかだか十数年の記憶では君に縋れない事も判っていたけれど、
『十分だ。』
そう言って笑った君を、僕は心に刻み込む事にした。




空にはやがて太陽が昇り、貴方を想わす月は沈んでいってしまうの。




『忘れないで』




闇夜を想わせる漆黒のコートは忘れ形見。
はじめて見た月を思い出す日はもう、二度と来ない。
星屑を無理にでも見せてあげたかった。
雨が続いても、天の河も見せてあげたかった。




『忘れないから』




はじめて見た闇夜は恐ろしく感じたけれど、
案外優しい事もちゃんと判っているから大丈夫。
君は悪い人だったかもしれないけれど、
意外に僕に触れる手は優しかったから。
だからきっと大丈夫。




はじめて見た月も、
はじめて見た星も。
まるでお前みたいだね、と、
もう此処には居ない君に投げ掛けて、
僕は少しだけ泣いた。




とびきり優しくしてやるよ、と組み敷いてきた身体は本来、僕の物なのだ。自分の身体を使った別人が自分自身を押し倒している、なんてとてもシュールだとは思わないか。僕がお前なら、はっきり言って御免だ。
『本気?』
組み敷かれながら言う台詞では無いな、とは思ったけれど、口をついて出てしまっては訂正のしようがない。案の定、何を今更、と言いたげな顔が近付いて、本気だと言う為なのか見せしめなのか判らない口付けが舞い降りた。瞼への接吻に、眼球がびくりと強張るのが判る。
だって君ならばこの瞳を抉る位できそうなんだもの。
『怖がんなって。』
けれど抉り取る事もせず、ただ瞼を掠めただけで唇は離れていった。そのまま頬だとか眉間だとかの上を、驚く程緩慢な動作で唇が蠢く。本気なんだ。押し倒された時から判っていた事だけれど、再確認してしまう。その事にかぁ、と顔に熱が集中し、今自分が酷く女々しい表情をしているのが判ってしまってどうしようもない。勿論、お前にも筒抜けなんだろう。顔赤い、だなんて言わないけれど、にやにやと意地悪な表情を貼り付けている事からも楽々推測出来る。意地が悪いよ。そんなに甘い顔で求められちゃ、抵抗も出来やしない。憎むべき存在である筈のお前に、よもや此れから足を開く事になるなんて、想像もしていなかった。




『僕、裏切り者なのかなぁ。』




ベッドに縫い付けられた身体を、例えば少しでも動かしたなら。お前が僕を無理矢理犯して、蹂躙しようとしたのなら。
それならば、一転して僕は悲劇のヒロインになるだろう。精一杯自分に出来る抗いは行なったのだと、言い訳も存分に用意される。
しかし、君は優しい。優しすぎるくらいに蕩けそうなキスを施して、僕を惑わしていく。抵抗する気も起きない、とはこの事だ。
とびきり意地悪な君の、とびきり悪趣味な趣向はけれど、とびきり優しく包む事で僕の思考を甘やかす。盛大に。




『判ってンじゃねェか。』
くく、と喉の奥で笑いながら僕の頬を撫でる。そのまま首筋から胸元、臍、中心へ。そうだね、もう逃れられない。そして逃れる気も起きない。
僕は裏切るんだ。大切な仲間を。そして人道も、道徳も、全て残さず踏みにじる。
それでも最低な人間だと罵られようとも、もう止められない。




『優しくしてね。』




とびきり優しい情事の先に広がるのが深い絶望だとしても、優しいお前には誰も敵わないよ。
だから後悔する暇も与えず、甘やかしてね。



優しくしてね。




とある夏の一日。
気温は40度を越え、所謂真夏日和となった。照りつける太陽の灼熱の暑さに加えて響く蝉の鳴き声が、一層不快感を増す。
『あつーい。あついあついあっつい!』
銀白色の透き通る様な綺麗な髪を高い位置で結わえ、上はタンクトップ一枚、下はトランクス一丁といっただらけきった格好で、男は理不尽な暑さにこれまた理不尽に喚いていた。
彼の名は獏良了。見れば端整な顔立ちをしており、転校初日からファンクラブが結成される程の美少年だと理解出来る。そのファンクラブの女生徒が今の彼を見たら嘆くのだろうか、それとも“そんな所も格好良い”と持て囃すのだろうか。それは判らないが、とにかく彼は理不尽にも憤慨していた。暑さに。
『なんでこんなに暑いの。なんでこんな時にクーラー壊れるの。バクラのばかっ。』
御丁寧に千年リング――彼の所有物であり、闇の人格が宿るオカルトなアイテム――をタンクトップの上からつけて居たのだが、彼はそれを思い切り投げた。ガシャーン、と金属が床とぶつかった瞬間、小気味良い音が鳴り響く。
『俺様のせいかよ!』
それこそ理不尽である。リングに宿った闇の人格、バクラ、と呼ばれた存在は了の言動に随分と慣れてきたものの、やはり此処まで不遜な態度ばかり取られると異議も唱えたくなるものだ。
『だいたいクーラー壊れたのは宿主が』
『しーらない。』
ピシャリ、と説き伏せられ、バクラは固まった。結局クーラーが壊れた経緯は判らないままだったが、それがバクラのせいではない事は明らかだった。
『ねー、お前、大魔王でしょ。気温20度くらい下げたり出来ないの。』
クーラーについてはもう諦めたのか、これ以上話した所で無駄だと悟ったのか。軽くスルーし、了は次なるステップへと歩を進めた。まあ、完全なる無茶ぶりではあったが。
『ンなの無理だって…』
『えーっ。使えなーい。』
案の定不可能だと告げるバクラに辛辣な言葉を吐き捨てて、了は床に転がったままのリングを眺めていた。絶対零度のまなざしにバクラの肝は20度どころでは無く冷えたが、当の宿主様の体感温度は未だ変わらぬままだ。
『ねー何かないの。』
『うっせーよ。ンなに暑いなら風呂入ってこい。水風呂。』
少し涙目になりながらバクラは了にそう告げた。苦し紛れの一言だったが、此れが案外功を奏したのだ。盲点だった、とばかりに了は立ち上がり、ついでにバクラの宿るリングを拾いあげる。
『それはいい考えだね!うん。お前もおいで。』
にこーっと浮かべられた天使の微笑みに、バクラは目を見開いた。



*******************************************************************




『わーっ冷たいっ!鳥肌立ちそう!』
『俺様も勃ちそう…。』
シャワーから零れる冷水を頭から被り御満悦の了の隣りで、溢れる煩悩を理性で押し殺すバクラの姿は少し滑稽だった。勿論了は男だ。バクラが野望のために了の身体を乗っ取る事もよくある。けれど未だかつてバクラが了のシャワーシーンを拝んだ事はなかったのだ。つめたーい、なんて可愛らしく水浴びをする姿は『お前はそれでも日本男児か』と突っ込みたくなるような色気を醸し出している。
『すっごい気持ち良いよー。蕩けちゃいそう…』
『そ、そうか…』
しかもそれに加えて発言が所々怪しい。わざとでは無かろうか、と勘繰りたくもなるが、本人は至って素、なのである。だからこそ余計にタチが悪いのだが。




『…っあー…ほんと、きもちー…』
『…………』
耐えろ、耐えるんだ俺様のディアバウンド(息子)――と脳内で必死に理性と格闘する大邪神の姿はやはり少々情けなかった。

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プロフィール
HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
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