9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。
二ヶ月弱ですがありがとうございました。
とある夏の一日。
気温は40度を越え、所謂真夏日和となった。照りつける太陽の灼熱の暑さに加えて響く蝉の鳴き声が、一層不快感を増す。
『あつーい。あついあついあっつい!』
銀白色の透き通る様な綺麗な髪を高い位置で結わえ、上はタンクトップ一枚、下はトランクス一丁といっただらけきった格好で、男は理不尽な暑さにこれまた理不尽に喚いていた。
彼の名は獏良了。見れば端整な顔立ちをしており、転校初日からファンクラブが結成される程の美少年だと理解出来る。そのファンクラブの女生徒が今の彼を見たら嘆くのだろうか、それとも“そんな所も格好良い”と持て囃すのだろうか。それは判らないが、とにかく彼は理不尽にも憤慨していた。暑さに。
『なんでこんなに暑いの。なんでこんな時にクーラー壊れるの。バクラのばかっ。』
御丁寧に千年リング――彼の所有物であり、闇の人格が宿るオカルトなアイテム――をタンクトップの上からつけて居たのだが、彼はそれを思い切り投げた。ガシャーン、と金属が床とぶつかった瞬間、小気味良い音が鳴り響く。
『俺様のせいかよ!』
それこそ理不尽である。リングに宿った闇の人格、バクラ、と呼ばれた存在は了の言動に随分と慣れてきたものの、やはり此処まで不遜な態度ばかり取られると異議も唱えたくなるものだ。
『だいたいクーラー壊れたのは宿主が』
『しーらない。』
ピシャリ、と説き伏せられ、バクラは固まった。結局クーラーが壊れた経緯は判らないままだったが、それがバクラのせいではない事は明らかだった。
『ねー、お前、大魔王でしょ。気温20度くらい下げたり出来ないの。』
クーラーについてはもう諦めたのか、これ以上話した所で無駄だと悟ったのか。軽くスルーし、了は次なるステップへと歩を進めた。まあ、完全なる無茶ぶりではあったが。
『ンなの無理だって…』
『えーっ。使えなーい。』
案の定不可能だと告げるバクラに辛辣な言葉を吐き捨てて、了は床に転がったままのリングを眺めていた。絶対零度のまなざしにバクラの肝は20度どころでは無く冷えたが、当の宿主様の体感温度は未だ変わらぬままだ。
『ねー何かないの。』
『うっせーよ。ンなに暑いなら風呂入ってこい。水風呂。』
少し涙目になりながらバクラは了にそう告げた。苦し紛れの一言だったが、此れが案外功を奏したのだ。盲点だった、とばかりに了は立ち上がり、ついでにバクラの宿るリングを拾いあげる。
『それはいい考えだね!うん。お前もおいで。』
にこーっと浮かべられた天使の微笑みに、バクラは目を見開いた。
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『わーっ冷たいっ!鳥肌立ちそう!』
『俺様も勃ちそう…。』
シャワーから零れる冷水を頭から被り御満悦の了の隣りで、溢れる煩悩を理性で押し殺すバクラの姿は少し滑稽だった。勿論了は男だ。バクラが野望のために了の身体を乗っ取る事もよくある。けれど未だかつてバクラが了のシャワーシーンを拝んだ事はなかったのだ。つめたーい、なんて可愛らしく水浴びをする姿は『お前はそれでも日本男児か』と突っ込みたくなるような色気を醸し出している。
『すっごい気持ち良いよー。蕩けちゃいそう…』
『そ、そうか…』
しかもそれに加えて発言が所々怪しい。わざとでは無かろうか、と勘繰りたくもなるが、本人は至って素、なのである。だからこそ余計にタチが悪いのだが。
『…っあー…ほんと、きもちー…』
『…………』
耐えろ、耐えるんだ俺様のディアバウンド(息子)――と脳内で必死に理性と格闘する大邪神の姿はやはり少々情けなかった。
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プロフィール
HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
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