9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。
二ヶ月弱ですがありがとうございました。
僕、君に後ろからぎゅってされるのが好きなんだ。知ってる?
前からより後ろから。力任せに、でも優しく。
その後耳元で愛を囁いて、ムードたっぷりに舌先で耳元を甘く濡らして。
注文が多くてごめんね。
でもそれだけで後は雪崩れ込むから何でもいいよ。
全て君のお芝居でも構わないよ。
『ねぇ、すきって言って。』
抱きすくめられたまま、何も言わないお前に痺れを切らして催促する。
強く優しく、後ろから。
及第点の抱擁はけれど甘い言葉が無いと嬉しさも半減だ。
僕を上手に騙したいのなら、ねぇ早く。
耳元で、囁いてよ。
『宿主。』
ぞくり、と体中に電流が走って、甘やかな期待が膨れ上がる。
どんなに下手糞な演技だって、どんなに芝居がかった大根役者だって、
無意味だから安心してね。
僕は上手に騙されてあげるから。
お前の言葉は全て信じて、そして全て疑っているから。
ああけれど、騙されたフリじゃないよ。
本当に騙されているんだ。
君のやさしい愛撫全てに。
『・・・愛してる。』
耳元でそう囁いて、そして君は僕の願望通りに耳元を舐め上げる。
ああ、嘘でもいいよ。
今この瞬間だけはとてつもなく幸せだから。世界で一番幸福だから。
例え君が心の中で僕を馬鹿にしてたって、完璧に騙されているから構わない。
愛のこもっていない愛してるも受け止めて、白々しい台詞に浮かされる。
本当に、好きだよ。
本当に、本当に。
【抱いて抱かれて10のお題】 :SILENT SPEECH 10:本当に、好きだよ
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閉じた瞳の奥に広がる闇夜と、耳に流れ込む潮騒が心地よい。此処は一体何処なのか、と考えを巡らせるも今に至る前後の記憶が曖昧だ。けれど瞼を持ち上げる事すら億劫で、相変わらず何も見えない状態のまま意識だけが浮遊する。押しては引き、また押し寄せる波の音だけが聴覚を支配していた。ざぁ、と波間に揺れる月明かりが、扇情的に胸中に流れ込む。リアルな虚像が作り上げる景色の中、空に浮かぶ星々の中心で一際存在を主張していた衛星は真丸な形をしていた。今日は満月だ。何も見えない筈の空間にありありと浮かぶこの光景は、まるで夜の砂浜だった。僕は一体今、何処に居るのだろう。
『・・・宿主。』
ざぁん、と波打ったちょうどその時、聞きなれた声が同時に流れ込んできた。聞きなれた声音も、聞きなれた呼称も、これが誰かという事を顕著に指し示す。その呼び方をするのは世界にただ1人、お前だけだから。
『・・・宿主。』
応答が無い事に痺れを切らしたのか、二言目が耳をすり抜けていく。揺れるさざ波が同調し、けれど先刻まで瞼の裏に張り付いていた満月の夜の波打ち際の光景は消え、代わりにお前の顔が映し出された。
『ん・・・。』
その顔が余りにも優しかったから、僕は堪らず目を開けた。億劫に感じていた筈のその行為すらその顔に綻ばされ、白旗を挙げる。目を開けても、広がるのはやはりお前の顔だった。けれど其の奥主張する、蛍光灯のちかちかとした灯りに思わず顔を顰める。其の人為的な光が先刻までの月明かりとは違って不自然だったからだ。一瞬此処は何処だろう、と不安になり辺りを見渡すが、何てことはない。只、僕の心の部屋に居た、というだけだった。
それならばあの景色は何だったんだろうと、手繰ろうとする意識はけれど何処かに浮遊していったまま置き忘れてしまったようだ。一向に思い当たる節が無くて少々混乱していると、頬を緩く抓られる。
『大丈夫か。』
きゅ、と摘まれて密やかな痛みに冴えた脳で、其の言葉の意味を数歩遅れて理解した。大方夢でも見ていたのだろう。自分は何処にも移動した覚えが無かったのだし、案の定目覚めてみれば視界に飛び込んでくる景色は今まで通りだった。こくり、と首を縦に振ると、お前は安心したかの様に摘んでいた指先を離して今度は酷く愛おしそうな手つきで頬を撫でてくる。それはまるで先刻思い描いたさざ波の様に心を震わせて止まない。
『結構長い間気ィ失ってたからな。』
このままじゃ寒いだろうから、と意地の悪い笑みを携えて続けられて、視線を下へと落とすと成程、申し訳程度に掛けられたタオルケットの下は素肌だった。それは何故か、何てわざわざ尋ねずとも答えは1つだった。その意地悪い表情からもまざまざと見せ付けられて、頬に熱が帯びる。
『照れんなって。今更。』
くく、と喉奥で笑われて、気恥ずかしさに視線を宙に漂わせた。一度認識してしまうと鈍い痛みも押し寄せる様だ。意識を手放す程の情事だったのだから、当然ではあるけれど。どうせ声も掠れて思った通りには出せないのだろうと諦め半分に口を開けば、やはり喉をついて出てくる声はしゃがれていた。
『・・・うるさい。』
お前の所為じゃないか、と暗に含んで彷徨っていた視線を戻すと、灰紫の瞳とぶつかった。
その時、其の瞳の奥に揺れる景色に気付く。
先刻まで見たリアルな夜の海そのものの様だった。まるで広大な海を携えたかの様な深いエメラルドグリーンの虹彩が、闇夜の海辺と酷似していた。
ああ、だからか、とすんなりと受け止められる程に綺麗な瞳に吸い込まれ、どうして自分が潮騒を感じていたか理解する。
お前に抱かれたままの身体は其の海を漂流していたのだ。
きっと。
『・・・服着たら、此処で寝てもいい?』
相変わらず掠れた声でそう呟くと、お前はまた優しそうに微笑んだ。其の顔は僕しか知らない秘密の顔だ。溶けるように優しい顔も、解けるような優しい手つきも、僕だけを包み込む大きな海だ。
『ああ。寝ちまえよ。』
ふわ、と頭を撫でられて、心地よさに目を瞑る。まだ服なんて着ていないというのに、既に思考は夢の中だ。
目を閉じればまたも広がる水面に映る満月の夜空が、まだ駄目だと叱咤する僕の思考をもお構いなしに其の波間へと引き込んでいく。
情事の後の気だるい雰囲気と相俟って、ただひたすらに手繰り寄せていく。
そして眠りの海へと引き擦り込まれ、お前の腕の中夢見心地で流されていくんだ。
【抱いて抱かれて10のお題】 :SILENT SPEECH 09:そして眠りの海へ
パチン、とスイッチが切れる瞬間だけは何時までたっても慣れなかった。自分の体なのに自分の体では無くなる感覚だ。パチン、と自分の意識が切り替わり、そして君に支配される。ああ、またか。今度は何をするの。そう心の中で呟いた所で表には微塵も出ないのだから、君の支配力と云ったら閉口する程だ。けれど、抵抗する気はもう起きないよ。好きに使ったらいい。この体も、心も。
『ねぇ、聞こえてる?』
僕のこの心の中の台詞だって、あげるよ。そう呟く僕の声が脳裏に響いた。ぱちりと切り替えた君の思考と僕の思考は決して混ざり合わないけれど、それでも僕は君という存在に溶け合おうと努力している。今度は何を、なんて聞いたからと云って、どうこうしようとは思わない。好きにしたらいいよ。スイッチは既に切り替わっているのだから。
後はもう、これは僕であって僕でない。
『聞こえてる。今度は邪魔すんじゃねェぞ。』
この間はお前の所為で散々な目にあったからな、と忌々しそうな声が聞こえた。ばかだなぁ。もう、僕がお前に反抗する気が無いことを知らないの?パチンパチンと切り替える度に僕は君に引き込まれているから。君が僕を支配し押し込めるとき、心地よい闇が辺りを包むから。その闇に包まれる度に君の心の奥底に触れ、君という存在を一層心に刻み込む。切り替わる瞬間だけは慣れないけれど、後は野となれ山となれ、だ。
君の闇が僕をどんどんと侵食していく。
あなただけ感じてる、なんて陳腐な台詞が支配していく。
『しないよ。お前のすきにしたらいい。』
たとえ抵抗しようとこの闇を振り払うなんて僕にはもう出来ない。それよりもこの体の奥底で、闇に恍惚と包まれていたいんだ。
君の素振りにひたすら無視を決め込んで。
それこそ、“あなただけ感じていたい”から。
【抱いて抱かれて10のお題】 :SILENT SPEECH 08:あなただけ感じてる
いきなり床に押し倒されたせいで、頭をしたたかに打ち付ける。
痛みに眉を寄せる暇なく性急に求められて、抗議の声も唇で塞がれた。
『んんっ・・・!!』
ムードも何もあったもんじゃない。割って入った舌に口内を好き勝手暴れ回られて、息も絶え絶えだ。こういう日は前戯もそこそこで痛がる僕なんてお構いなしに繋がろうとする事も、これまでの経験で判っている。
絡めとられた舌が行き場を失い、どうすればいい、と躊躇うのも知らん振りしてお前はひたすら口内を蹂躙していく。
『っふっ…んっ!』
息があがって頭が酸欠状態の為か、くらくらしていく。キスだけでこの調子じゃ最後まで保たないかもしれない。僕の読みは対外当たり、そう思う時は必ず、最後は意識を飛ばしてしまう。
けれどどんなに否定したって、拒絶したって、結局はよがってしまうんだ。
いつも僕を焦らして焦らして反応を楽しむ余裕たっぷりの君が、今日みたいにたまに切羽詰まって求めてくるから、僕はいよいよ君に溺れていく。
『っは・・・!ちょっ・・・』
『・・・止まらねェ・・・!』
ようやく口内の蹂躙が止んだと思った刹那、抗議の言葉も押え込むその欲情に溢れた瞳が、殺し文句が、僕を射抜いていく。
求められていると知覚するだけで僕は至福に包まれるから。
もうちょっとおちついて、なんて言えないね。
性急に求められるのも意外とすきだったりするから。
【抱いて抱かれて10のお題】 :SILENT SPEECH 07:もうちょっとおちついて
結構ギャグっぽい文体にしてみたが、シモいのでワンクッション。
これ恥ずかしかったです・・・。すいません途中で終わります・・・。
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年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
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