9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。
二ヶ月弱ですがありがとうございました。
目の前に居るのは僕に瓜二つなお前と瓜二つの別人だ。
ややこしさに頭がこんがらがり、大きな理念ががらがらに崩れて気が付けばゲシュタルト崩壊寸前だった。
どんなに此れは誰だと頭を捻っても偽者にしか思えない。目の前のお前は替え玉だ、そうだろう。
だって何処か違う気がする。
何処が違うかは説明できなくても、心が否定する。
『誰だよ、お前。』
『・・・宿主・・・何言ってんだ・・・?』
怪訝な表情で僕をかく乱しようとする偽者に、僕は思い切り冷めた視線を送った。そんな演技に騙される僕じゃない。僕の身体を借りて生まれた化け物の、けれどさらにその身体を借りた化け物め。僕には判っているんだ。この目の前の偽者は、僕を錯覚させてアイデンティティを失わせようとしているのだ。そうでなくともあいつが存在しているおかげで僕の存在は確立されているかも怪しいというのに。
『返してよ、僕の。』
僕の、化け物を。僕の身体を乗っ取った悪の化身を。
僕にとっては邪魔な存在だったけれど、瓜二つの別人よりはきっと必要だ。
『どうしたっつーんだよ・・・!』
困惑極まりない、なんて灰紫の瞳が物語っている。虹彩が瞳孔の開きに比例して肥大し、僕の心理を捕らえようと推し量っている。
『やめてよ、お前じゃないんでしょ・・・!』
頭がこんがらがりそうだ。
その瞳は僕の知っている瞳そのものだったから、白々しいにも程が或る、と一喝するにはダメージが大きい。
その瞳でみつめないで。
全く同じ瞳で見据えないで。
寸分違わぬ粗悪品のくせに。
『・・・宿主!』
ぎゅ、と抱きしめられて喉元まで出かけた言葉がひっこんだ。ぴたりと止んだ僕の抗議にお前は安心させようと僕の背を擦る。優しい手つきで。
『俺様が、別の誰かな訳ねェだろ。落ち着け。』
悪い夢でも見たのか、と続けて、相変わらず僕の背をゆるやかに撫でる手に、意識は冴え渡る。
浅はかなことを口にした。
『そうだね、ごめん。』
これは口にすべきではなかったのだ。僕の心の内での葛藤を、いくら偽者に話したところで正体を明かす筈なんて無いんだもの。
お前はやっぱり偽者だよ。そっくりそのままコピーされた別人だ。
けれど偽者がはいそうですか、なんて言うはずがない。
僕はやっぱり騙されないよ。
お前はやっぱり本物では無いんだ。本物がこんなに優しい筈は無いんだもの。
カプグラ症候群、とふと過ぎる言葉の意味は実の所僕にはよく判らないけれど、この疑念を言葉にするなら、きっとこれが一番しっくりくる。
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プロフィール
HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
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