9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。
二ヶ月弱ですがありがとうございました。
其処に至るつもりは毛頭無かった。ふざけてキスを交わし抱き合い寄り添って眠る事はあっても、まさか君に抱かれるなんて思いもしていなかった。あの晩、幾重にも降り注ぐ口付けの嵐に、いつもとは違う空気を感じ取ってはいたけれど。
それでもまさか、自分の身体とそっくり同じ身体を持つ君に組み敷かれるなんて、思ってもみなかったんだ。
『どういうつもりだったの。』
感情を出来るだけ抑え込み、口にすると厭でも昨夜の過ちが甦ってくる。勿論僕らは一つの身体を共有している身であるから、実際にこの身に残る傷跡は一つもない。けれど心の部屋での事実は夢よりももっと現実的で、実際の出来事と受けとめたって遜色無い。
どうして君は僕に欲情したのだろう。まるで同じ体つきの、女性のような柔らかみも丸みもない骨張った男の身体を、どうして君は組み敷いたのだろう。
僕自身、キスをする事も、抱き合う事にも、抵抗は無かった。何処かじゃれ合うだけの其の行為に安堵していたのも、心地よさを感じていたのも事実だった。
それでも、性行為には至りたく無かったんだ。一線を越えるつもりは、やっぱり、毛頭無かった。
だからあの夜、いつものようにじゃれあいながら唇を交わしていた最中に侵入してきた君の手を振り払ったのだ。
『僕、嫌だって言ったのに。』
あの夜それは嫌だ、と僕ははっきりと拒絶した。触れるだけの口付けも、暖かみを感じるだけの抱擁も、僕の心にさざ波は立てないけれど、セックスだけはどうしたって僕の心をかき乱すであろうと本能で知っていたから。
僕の心は平穏を保ちたがっていたのだ。あの夜も、今も、この先だって。
だからそれを乱す性行為だけは、君と交わしたくなかったのに、と思う。
そう、思ったのに。
『お前だって、結局抵抗しなかったじゃねェか!』
責める口調に反論するかの様にお前が声を張り上げた。
結局の所、はっきりと拒絶したにも関わらずずるずると引きずられ身を委ねてしまった僕を咎めるその口調に、悪びれる素振りはまるでない。
ああ、そうだよ。僕ははっきりと拒絶したけれど、その次の君のとろける様なキスの愛撫で、その拒絶は意味を無くしたんだ。
其処に至るつもりは毛頭無かった。ふざけてキスを交わし抱き合い寄り添って眠る事はあっても、まさか君に抱かれるなんて思いもしていなかった。
けれど君の暑さに溶かされてしまったのも事実で、僕には君を責める資格がないのだって、判っていた。
判っていたんだ。
『だって、どうしようも無い・・・。』
ぼそ、と呟いた言葉に君は顔を顰めたけれど、それすら気にかける余裕が無い。
過ちを冒してしまった僕らはこれからどうやって向き合っていくのだろうか。
ふざけて、じゃれあって、子供のなれ合いのような口付けだけを交わしていられたらどんなに楽だったのだろう。
なんて、今更遅い戯れ事だね。
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プロフィール
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すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
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