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9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。 二ヶ月弱ですがありがとうございました。
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あれだけ僕を苦しめ虐げていた存在はきれいさっぱり消えてしまったらしい。周囲の生暖かい目線と何かを言い淀む微笑みに僕は全てを理解した。そしてどう伝えようか、と模索している友人達に向かって、判っているよ、と微笑み返した。正義は必ず勝ちそして悪は滅びるのだ。此ほど物事のセオリー通りの話は無い。世の中は至って上手くできている。僕を好き勝手振り回していた諸悪の根元は正義のヒーローに打ちのめされたのだ。
『馬鹿な奴。』
ふ、と零れた言葉は本心からだった。どんなにあいつが強くて邪悪な存在だったとしても、友との結束の力には敵いやしない。それなのに自分は最強だと驕り高ぶるから惨めにも負けてしまうのだ。馬鹿な奴だ、と僕はもう一度、今度は心の中で呟く。全く、爪が甘い。そんな奴に僕の人生は大幅に狂わされたのだから、全く持って腹が立つ。あいつの所為で僕は転校を余儀なくされ、両親からも見放されたのだ。誰も居ない一人暮らしには広すぎるマンションに一人きりで暮らさなければならなくなったのだ。其れら全てはあいつの所為だった。憎んでも憎んでも、憎みきれない。どうせなら僕のこの手であいつを消し去ってやりたかった、とも思う程に。けれど、そこまで辿り着いた感慨はしかしあっさりと自分の中で否定されるに至る。どんなに嫌いだと眉をしかめても、いざ自分自身であいつの心臓に杭を差し込める状況下に陥ったって僕は何も出来ないに決まっている。どんなに否定して存在を打ち消そうとしても、その首に縄を括り付ける事は出来ないに決まっている。何て事はない。口先だけの憎しみも勿論本心で、けれどだからといって憎みきれない自分も勿論本物だった。
殺してやりたい気持ちと絆されている気持ちが綯い交ぜになり、矛盾した気持ちがぐるぐると渦巻くのだ。
まるで自分の中にまだ、もう一人居るかのように二つの心が真っ向からぶつかり合う。
相反する気持ちが僕の心を未だ苛む。




『お前、まだ居るんじゃないの。』
大仰に溜息を吐いて胸に手を当てた。此処には誰も居ない。それは判っている。ぽっかりと空いた間隔に、僕の最大の元凶は綺麗さっぱり消えてしまったと如実に、思う。
それでも未だに矛盾する心持ちが抱えられている辺り、誰かが居るような気すらして。




忘れ形見でも思惑でも、どっちだっていいけれど。
まんまと嵌っているあたり僕はやはりあいつに振り回されているのだ。
例えあいつが消えようと、何処かへいってしまおうと。




相反するこの思いが僕の体を蝕む限り。

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HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
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