9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。
二ヶ月弱ですがありがとうございました。
積み上げた本という本がばさばさと音を立てて崩れ落ちた。崩れる寸前ギリギリの処で均衡を保っていたその山は、一度崩れ始めると留まる理由が無い。ドミノ倒しの要領で他の山々にまで侵食し、雪崩れが発生したのだ。フローリングの床が本で埋まり、見るも無残なごみ屋敷の様になってしまった。
足の踏み場も無いとはこの事だ。
『あっちゃー・・・。』
まだいけると思ったんだけど、と1人ごちる。読みが甘かったのだ。あと1冊くらい乗せたからといって崩れる筈がない。そう信じて新しく読み終わった小説を一冊その上に積み上げようと試みたのが失敗だった。
洋書からハードカバーの分厚いファンタジー小説、文庫、漫画、教科書その他諸々。
ものぐさにもそれら全てを綯い交ぜにして放っておいたのは紛れも無く自分だけれど、こうなってしまっては過去の自分を呪いたくなる。
『わー、これ片付けるの面倒くさい・・・。』
父から譲り受けた古文書や歴史小説など堅苦しい本から今流行の少年漫画まで多彩な本達が今所狭しと足場を占領していた。どうしようもない。片付けるしか手立ては無い。けれど、何処から手をつけていいかすら判らない。そんな状況だ。はぁ、と諦めにも似た溜息を吐くと、ひょっこりと後ろから覗き込まれる感覚を受ける。背中越しに何か得体の知れない生物が現れた、みたいなそんな感じだ。幽霊みたいなものだから仕方ないとは云え、奇妙な感覚だなぁと何時も思う。
けれど、そんな事言おうものなら臍を曲げられるので本人に直接話した事は無い。
『きったねー部屋。何やってんだよ宿主。』
余りの落胆ぶりを心の中から機敏に察知したのか、先ほどまでまるで気配が無かったというのに何事かと様子を見に現れた、というところだろうか。
派手にやらかした僕を他人事のように眺めている。
『なんでそんな他人事決め込んでるの。手伝ってよ。』
これじゃ何も出来やしない。懇願する視線を振り返りがてらに送ってみるけれど、お前がそんな台詞に傾く筈も無かった。
『はァ?何で俺様が片付けなきゃなんねーンだよ。テメェでやれ。』
『何時も僕の身体勝手に使ってるじゃない。宿賃だよ。』
『知るか。せいぜい頑張って片付けるんだなァヒャハハハハ!!』
『あっちょっと・・・もう!ばか!』
言いたい事だけ言ってさっさとまた心の部屋の中へと引っ込んでしまったお前に、とりあえず怒気を放ってみるけれど、最早何処吹く風、だ。
元より頼りにはしていなかったから落胆する程でもないが、如何せん言い逃げ風味な処がとても気に入らない。
僕の神経を逆撫でるだけ逆撫でて素知らぬ顔だなんて、本当にこいつといったら嫌味な奴だ。
『あーもう、ムカつくやつ。』
少しくらい手伝ってやるよ、とか何時も勝手に身体借りてて悪いから変わってやるよ、とかないのだろうかとむくれてみるけれど、そんな彼を想像するととても気持ちが悪い。
やっぱり、そんな想像はしてみたところで現実には敵う筈も無いのだ。
想定の範囲内だよね、ともう一度溜息を吐いて、この見るも無残な部屋を少しでも改善する為に、近くに落ちていた本から順に棚へと戻す作業に集中することにした。
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プロフィール
HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
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