9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。
二ヶ月弱ですがありがとうございました。
大きな空が泣き出した。
あまりの大泣きぶりに僕と君も大慌て。
僕には此れを凌ぐ傘も合羽もなかったから、
祈るように走り続けて、
そうして見つけた垣根の下で、
思いもよらない二人だけのおしゃべりタイム。
『濡れちゃった。』
『風邪ひくぞ。』
『その時は、変わってね。』
『ばーか。』
タオルみたいなものがあれば良かったんだけど、やっぱり現実は甘くは無くて。
ハンカチくらい持ち歩けと怒られた。
通り雨が僕の隣に浮かぶ幽霊みたいなこいつを、変わりにお母さんみたいにして、
ぽたぽたと雫が伝わる髪も、ぐっしょりと濡れた服も、どうにかしろと喚きだす。
此れ位でやられる程やわな身体はしていないと思うけれど、
君がそうやって心配してくれるから黙っておいた。
雨は相変わらずざあざあと降り続けて一向に止みそうに無い。
『暇だね。』
『やまねェな。』
『何か面白い話してよ。』
『無茶言うな。』
ばーか、とまた言った君はとても極悪人には見えなくて、何だか嬉しくなる。
気まぐれな空の突然の恵みは、この世界を潤すだけでなく僕の心も浸らせるから、
雨は嫌いだなんて言っていた自分を訂正するね。
どうかどうかまだ止みませんように。
てるてるぼうずも逆さに吊って、
どしゃぶりの空に祈るように、
走り続けて辿り着いた先が此処でよかった、と思う。
他に誰も居ないから、独り言に見える僕たちのお喋りも気にならないんだ。
『傘』
『え?』
『傘、盗んできてやるぜ。』
『やだよ。僕の身体でしょ。』
『バレやしねェさ。』
『万引きは犯罪なの。』
そんな釣れない事言うなよ、なんて言う君。
釣れないのは君じゃない。
まだ雨足も酷いこの空の下、
また走り出してコンビ二で傘泥棒なんてナンセンスだ。
せめてこの雨が止むまで此処に居ようよ。
此処に居たいな。
君とこうしてゆっくり話す機会なんてそう無いんだから、
本当はずっと此処に居たいのに。
雨がやんでも此処に居たいのに。
『まだいいの。』
『風邪ひくといけねェだろーが。』
『だから、変わってくれたらいいじゃない。』
『またそれか。』
『無限ループ地獄だね。』
ぐるぐる巡って会話も振り出し。
意味が無いなんて言わないでよ、
ちゃんと意味はあるんだから。
今、
此処で、
君と、
こうしておしゃべりをする事にこそ意味があるんだから、
会話を途切れさせないで。
無意味なようで有意義な、無限ループに陥って。
『風邪。』
『え?』
『風邪、ひいたら。』
『うん。』
『その時は、』
『変わって、くれる?』
『ばーか。』
最初と同じ台詞で終わって、
けれど格段に紛れた言葉が、
違う意味を含んでいると知ったから。
繰り返す会話も、やまない雨に掻き消されても構わないかもしれないなぁ、なんて。
やけに乙女チックな思考回路が、
ぐるりぐるりと加速する。
『考えといてやるよ。』
わぁ、明日もきっと、ずっと雨だ。
『デレ期?』
『なんだソレ。』
『ナーイショ。』
ふふふ、と笑って君をみつめて、
風邪ひきますように!と、
僕はこっそり、そう願った。
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プロフィール
HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
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