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9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。 二ヶ月弱ですがありがとうございました。
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首筋に残る傷跡は闇に支配された弟の忘れ形見だった。今はもうかさぶたになっていて、2、3日中には癒えるであろう事は容易く想像出来る。闇に打ち勝ち光を見出した実の弟はけれど、そんな弱々しい傷跡でさえ嫌悪の表情を見せた。
『これ、あいつの所為だよね。』
すぅ、と実弟の指先が私の首筋を伝う。あの男に歯を立てられたその場所に。その指は這う様に押し寄せ傷跡をなぞり、そしてまた、彼の顔は申し訳無さそうにくしゃりと歪められた。
『もうすぐ消えるわ。』
何でも無い風を装い、取り繕った。優しく温厚な実の弟は私の首筋に残る傷跡を、自分の所為だと責めている。あいつの所為、と言いながらも、その元凶は自分なのだと思い込んでいる。
違うわ、貴方の所為じゃない。貴方とあの男は別人なのだから、貴方が気に病む必要なんて何処にも無い。
――けれどその言葉は心の中で反芻されただけで、遂には発される事は無かった。
余りに悲痛な顔で見つめられて、慰めの言葉は無意味だと悟るしか、無かったから。




『姉さん。』
皮膚の上、噛み傷の跡をなめらかに滑るその指が、私の言葉を遮る。貴方は私の事を“姉上様”とは呼ばない。昔から今までの間一度たりともそんな呼び方をしなかった。
だから気付いて。貴方は貴方で、あの男とは違うのよ。こんな些細な傷跡に揺さぶられたりしないで。闇に囚われ闇が姿を現したりしない様に、私の事を気にしてはいけない。
けれどやはりその言葉すらも、口をついて出てこなかった。
ごめん、姉さん、ごめん。
何度も何度もそう呟く自分の弟の悔しそうな声に、掻き消されてしまったから。




その重圧に飲み込まれてまた首筋の傷が疼いた様な、そんな気がした。
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HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
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