9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。
二ヶ月弱ですがありがとうございました。
ぎり、と首筋に歯を立てられて、思わず眉を顰めた。血を分けた肉親だというのにその姿はまるで別人だ。もっとも、闇に支配されたその出で立ちは、本来の弟の姿では無かったのだけれど。
『・・・やめなさい。』
きつく睨み付け牽制すると、闇に支配された実の弟はくく、とのど元で小さく笑った。まるで気にも留めていない、と言われているようでとてつもなく不快感に襲われる。動揺しては思うつぼだから取り乱したくはない。けれどそう思う心とは裏腹にぞわぞわと背筋を伝う嫌悪感を拭いきれない。
鋭い刃はその間にもどんどんと侵入を進めていて、ぷつりと肌の裂ける音が耳に響いた、と、知覚した途端、じわりと血の滲む感触。
吸血鬼の様に其の血を舐めとる闇の人格に蝕まれた弟に、嫌悪感や不快感ではない恐怖が初めて訪れた。
『マリク・・・!いい加減に・・・!』
この心情だけは気取られたくない。そう思い今まで以上にきつくきつく睨み付けたのだけれど、きっとそれすらお見通しなのだろう。ぴちゃぴちゃと舌が這う音が更に恐怖を、畏怖の心を、煽り立てる。
『マリ・・・!』
『違うねェ・・・姉上様・・・。』
にやぁ、と綺麗に弧を描いた口元と、そう呟いたと思った刹那に唇が首筋を離れてぶつかった、嘲る様な視線と。
『俺様を、主人格と一緒にしてほしくねェなァ・・・。』
続けられた見下したようなその一言が、闇の訪れを顕著に現す。
嗚呼、貴方は私の弟では無いのだ。
姉さん、と可愛らしく私の後をついてくる、優しく儚げな私の弟とは別人なのだ。
『私のマリクを、返しなさい・・・!』
もうほとんど残っていない自尊心を掻き集めて吐き出した台詞に、目の前の男は薄ら寒くなる程の嘲笑を浮かべた。
まるでそんな事は不可能だと言いたげな表情だ。
今度は何を言われるか、と身構えたけれど、しかし何も言わずにこの男はまた首元に顔を埋めた。
残忍な顔で、今までとは比較にならない程の苦痛を与える為に。
どうして、と譫言のように呟くのは実の弟に向けてであって、この男にでは無い。
まるで闇に捕らわれたかの様に、後はそれだけを繰り返す。
ぼんやりと薄れていく思考はけれど、この男という闇に飲まれていくであろう事だけは、知っていた。
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プロフィール
HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
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