9/2の宿主様の誕生日をもちましてバク獏100枚書けたのでサイト閉鎖しました。
二ヶ月弱ですがありがとうございました。
誰にも言えない。勿論言う必要もない。惨めな僕を知らしめる必要など、何処にも無い。
それでも誰かに聞いてほしいと思ってしまう、惨めで愚かな自分。
『遊戯くん、』
目の前の小柄な友人に話しかける。好機では無かろうか。図った様に2人きりになった帰り道は、もう誰にも邪魔される事はない。例えば僕のこの愚かな話をしたとして、唯一怒らずに聞いてくれるとしたらきっと、この人だけだと打算を打ち出す。言えない。けれど言ってしまいたい。真っ向から対立意見がぶつかって平行線を辿る。日がな一日中僕はその事について飽きる程に苦悩し、悩まされ、吐き気すら催す。
『うん、なぁに?…顔色悪いけど、大丈夫?具合悪いの?』
心配そうに覗き込まれて、反射的に顔を逸らした。純真無垢な瞳が怖い、と言えば君はどう思うのだろうね。
『…体調は大丈夫。そうじゃなくて、』
そうじゃない。そう言うと君は察したらしい。話が早くて助かるけれど、見透かされそうで怖いんだ。ああ、君を聞き役に選んだのはもしかしたら間違いだったのかもしれない。
『バクラくんのこと?』
何かされた?大丈夫?と心配そうにまたもや覗き込まれる。御名答だ。バクラくんのことで、何かをされて、大丈夫でもない。全ての問い掛けが的を射過ぎていて、ぐらぐらと視界がぼやけた。僕はね、と言ってしまいたい。僕は、僕は。
『…あのね、』
すうと深呼吸をして酸素を体内に取り込んだ。言ってしまおうか。僕は君たちを騙すことになる、と。
罪悪感、背徳感、その他諸々の感情が溢れ返り、吐き出してしまえればどれ程楽なのだろうと思う。僕はもうすぐ訪れる最終決戦の手伝いをしているんだ。君たちを苦しめる最後にして最大の砦を言われるがままに創造する。これら全てを吐露したとしても、君は僕を友人だと言ってくれるのだろうか。
『、その、』
ぐるぐると色々な言葉が頭の中を巡るというのに、口を出る単語といえば歯切れの悪い接続詞ばかり。けれど言わなくてもバレバレなのだろうね。勘のいい遊戯君にはたいていの部分筒抜けなのだろうけれど、それでも君ですら知らない真実が一つある。その真実をも暴露したとしたら、今度こそ本当に嫌われてしまうのだろう。「バクラくんのこと」だって、「大丈夫ではない」ことだって真実で、そしてこれらを吐露したところで、君は許してくれるだろう。
けれど、そうじゃあないんだ。
「何かされた」、じゃなくて、「何かした」んだ。
僕は自分の意思で君たちを裏切る。自分でも驚くほどにあっさりと受け入れた夜毎の行為が僕を奈落の底へと突き落とした。体を求められたとき何故拒まなかったのかも、自分の中ではとっくに結論付いている。完全に魅入られている、絆されている、そして愛おしさすら感じてしまっている。あいつの吐息が僕にかかる度、熱っぽい視線に意識を浚われる度、罪悪感を感じながらもどうしようも無くなってしまうんだ。
それすらあいつの計算の内だと知りながらも逆らえない僕の惨めさを、聞いてほしい。そして、聞いてほしくない。騙されているだなんて百も承知だ。それでも惨めさを露呈する必要なんて欠片も無いはずなのに、どうしてか全て吐き出してしまいたくなる。
『・・・なんでもない・・・』
けれど、僕はやっぱり臆病で利口だった。誰にも言えない真実を吐露するリスクに、結局は踏み出せずに終わる。
複雑な顔でそっか、と呟いた遊戯くんに僕は心の中で謝った。きっと君は今日の夜、強いられて裏切り行為を犯す僕のビジョンに悩む事だろう。
そして本当にそうなのだとしたらどんなに僕は救われるのだろうね。
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プロフィール
HN:
すめ。
年齢:
37
性別:
女性
誕生日:
1987/05/02
自己紹介:
Coccoだいすき愛してる。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
と思ってるぐらい頭沸いてる。でも書く小説は全くそんなことはなく、たいがい甘くない。
でも甘いのもあるよ。
ほぼバク獏でたまに他。みたいな感じ。
ばくばくは結婚して第三子おめでたくらいいってる。
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